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日本製鉄株式会社top2021年08月04日

光触媒機能鋼板(抗ウイルス鋼板)の開発について

日本製鉄株式会社

2021年08月04日

 日本製鉄株式会社(以下、日本製鉄)は、酸化チタンを用いた可視光応答型光触媒機能鋼板を開発しました。酸化チタンは、光エネルギーにより活性化され強い酸化作用を持つ物質として知られており、その作用により抗ウイルス効果が得られるものです。また、光触媒には抗菌、消臭、抗アレルゲン効果もあります。

 日本製鉄が今回、開発した光触媒機能鋼板は、表面処理鋼板に光触媒機能を付与するもので、表面処理鋼板が持つ意匠性、耐食性、耐指紋性等の諸性能に加えて新たな特性が得られます。成形加工後も光触媒層が残存しており加工品としてもその機能が維持できます。
 光触媒機能の実装化においては、これまでに蓄積した知見、塗料設計技術、製造ノウハウが活かされています。

 衛生意識の高まりの中で、不特定多数の人が手に触れる製品あるいは飛沫が飛散する環境での適用が考えられます。具体的にはオフィス、病院、学校、介護福祉施設の内装、公共トイレ、エレベーター内、間仕切りや宅配ボックス・書架などをイメージしています。
 日本製鉄では、現在、各種の表面処理鋼板に対して光触媒機能付与について開発を進めており、今回、高意匠性鋼板(ヘアライン調電気めっき鋼板)「FeLuce® (フェルーチェ)」に、光触媒機能を付与することで抗ウイルス機能を有する高意匠・光触媒機能鋼板を開発し、屋内の実環境に即した「低照度」での性能を評価しました。JIS R 1756(可視光応答型光触媒材料の抗ウイルス性試験方法-バクテリオファージQβ(*1)を用いる方法)により抗ウイルス性試験を行い、照度500 lx(ルクス)で鋼板に付着したウイルスが99.99%(*2)不活化することを確認いたしました(図1)。なお、光触媒機能付与によりFeLuce®の意匠性を損なうこともありません。
(参考)FeLuce®は、2020年度グッドデザイン賞を受賞した商品です。
以下のURLでご紹介しております。
https://www.nipponsteel.com/product/feluce/

 各種抗ウイルス薬剤の散布、塗布サービスが提供されていますが、光触媒機能鋼板を適用した製品の拡がりによりこれらの施工、メンテナンス作業が軽減でき、コスト削減にも貢献できると考えています。

 世界的に蔓延している新型コロナウイルス感染症に対する社会不安を少しでも和らげ、安全と安心をお届けできる商品をご提供することが社会基盤を担う日本製鉄の使命と考え、新型コロナウイルスの不活化の検証も進めており、効果が期待できるものと考えています。

 今回検証を行い抗ウイルス効果の付与が確認できたFeLuce®(SILVER)以外の表面処理鋼板に対しても光触媒機能付与について同様の効果検証を実施中であり、今年度中に光触媒機能鋼板群の商品化を目指します。

 日本製鉄は、常に世界最高の技術とものづくりの力を追求し、国連で採択された「持続可能な開発目標」(SDGs)にも合致した活動(「すべての人に健康と福祉を」)を通じて、これからも社会の発展に貢献していきます。
      図1 FeLuce® (SILVER)を用いた光触媒機能鋼板の抗ウイルス性能


*1 バクテリオファージQβは、ヒト及び動物への病原性を持ちませんが、ヒトに感染するインフルエンザウイルス代用として用いられます。
*2 当データはJIS R 1756に準拠した試験結果であり、実環境での感染予防を保証するものではありません。実際の効果は、使用条件や使用方法により異なります。
*3 plaque forming unit、バクテリオファージ感染価の指標。

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