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株式会社IHItop2021年11月11日

CO₂の再資源化によるオレフィン製造技術の開発に向けたNEDO委託事業に採択 

~プラスチック・樹脂の原料としてCO₂のカーボンリサイクルを目指す~

株式会社IHI

2021年11月11日

IHIは,国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業「カーボンリサイクル・次世代火力発電等技術開発/CO₂排出削減・有効利用実用化技術開発/CO₂を原料とした直接合成反応による低級オレフィン(*1)製造技術の研究開発」(以下,本研究)の委託先に採択されました。本研究は,石油を用いずに低級オレフィンを製造するプロセスの基礎確立および既設の低級オレフィン製造プラントとの統合検討を目的として,2026年2月まで実施します。

経済産業省が,関係省庁と連携し策定した「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」では,カーボンニュートラル実現に向けたキーテクノロジーとして,大気に排出されている二酸化炭素(CO₂)を資源としてとらえ,これを分離・回収し,有効利用するカーボンリサイクル技術を活用する方針が示されています。

 

 従来,低級オレフィンは原油由来のナフサ(*2)を熱分解することで製造されていますが,IHIは,排ガスや大気から回収したCO₂と水素を,反応器と触媒によって合成する技術の確立を目指しています。これは現在排出されているCO₂を有効利用するカーボンリサイクル技術であり,プラスチック製造時などに排出されるCO₂を低減することが可能になります。これまでにIHIは,シンガポール科学技術庁(A*STAR)傘下の化学工学研究所(ICES(*3)との共同研究により触媒の開発を行い,良好な効率でオレフィン製造ができることを,ラボ試験で確認済みです。

 

 本研究では,これまでに開発した触媒をベースにさらに高性能な触媒の開発,および石油化学用リアクターの反応器設計技術を生かし,反応時の発熱を制御し,効率的かつ安定的にオレフィンを製造できる反応器を開発します。さらに,石油化学プラント敷地内に,CO₂回収装置と低級オレフィン製造装置を設置し,実際の排ガスから回収したCO₂とプラント内の副生水素を用いた製造試験を,2024年度から実施する計画です。試験で得られた低級オレフィンと,既設プラントで製造された低級オレフィンとの比較・互換性評価などを行い,既設プラントとの統合条件を検討します。

 

 IHIは,これまでのメタネーション触媒・反応器やCO₂回収装置の開発実績,プラントのプロセス設計技術を生かし,化学工業分野でのカーボンニュートラルの実現への貢献を目指し,本研究を推進してまいります。

<添付資料>

 
本研究での実施項目(①・②)と既存設備を最大限活用するバリューチェーンのイメージ図

  

【研究開発項目】

①低級オレフィン合成触媒および反応器の開発

②既存ナフサクラッカーの実排ガスを用いた試験および既存設備との統合検討

 

【事業期間】

 2021年度~2025年度

 

【注釈】

(*1) 低級オレフィン:多くの主要基礎化学品の原料となるエチレン,プロピレン,ブテンなどのことを示す。プラスチックや樹脂の原材料として用いられる。

 

(*2) ナフサ:

原油の蒸留によって得られる低沸点成分。溶剤や石油化学製品の原料として利用される。

 

(*3) ICESInstitute of Chemical and Engineering Sciences):

触媒,バイオ,有機・高分子など幅広い分野の科学や化学工学に関する研究開発を行う研究機関。

 

■当社のカーボンリサイクル技術に関する参考資料:

IHI技報 Vol.61 No.1 (2021) カーボンリサイクル技術による脱CO₂・炭素循環型社会の実現への加速 ―CO₂回収技術とCO₂有価転化技術の融合

https://www.ihi.co.jp/ihi/technology/review_library/review/2020/_cms_conf01/__icsFiles/afieldfile/2021/02/11/05.pdf1MB

 

IHI技報 Vol.59 No.1 (2019) 二酸化炭素(CO₂)の再資源化に向けた触媒技術

https://www.ihi.co.jp/ihi/technology/pdf/268585c8fa44ebc905ecfc91b5087e26.pdf1.1MB

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