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大成建設株式会社top2022年05月10日

コンクリート吹付け作業の遠隔操作技術「T-iROBO® Remote Shotcreting」の本格運用を開始

吹付け作業の更なる安全性向上と作業環境改善を実現

大成建設株式会社

2022年05月10日

大成建設株式会社(社長:相川善郎)は、2019年に開発した山岳トンネル工事に使用しているコンクリート吹付け作業の遠隔操作技術「T-iROBO Remote Shotcreting」※1に改良を加え、この度、本格運用を開始しました。今回の改良は複数のカメラを増設し、操作者は切羽から十分離れた吹付け機操作席から切羽近くに居るような臨場感を持ちながら吹付け厚さの管理を含む一連の作業を行うことが可能となり、吹付け作業の更なる安全性向上と作業環境改善を実現することができます。

従来の山岳トンネル工事におけるコンクリート吹付け作業では、切羽近傍で作業する操作者の安全性や、粉塵等による健康被害が懸念されています。また、厚生労働省ガイドライン※2では、労働災害を防止するため切羽への作業員の立入りを制限し、切羽近くでの作業を可能な限り機械化する方策の検討が推進されています。

 

 このような背景から当社では、操作者が切羽に極力近づかずにコンクリート吹付け作業を遠隔操作で行う技術「T-iROBO Remote Shotcreting」を開発し、施工現場において試験的に運用※3してきました。その結果、従来方式では操作者の作業位置、人力による魚眼ステレオカメラ設置や、吹付け機のエレクターアーム等で死角が生じるなどの課題が抽出されました。これらの課題に対し、今回以下の改良を加え、より安全で効率的な施工を可能とし、国道7号鼠ヶ関トンネル工事(発注:国土交通省東北地方整備局)において、本技術の本格運用を開始しました。

 

本技術の改良点は以下のとおりです。(図1、写真1、写真2参照)

 

 また、当社では吹付けコンクリートの厚さをリアルタイムで把握できるシステム※4も開発済みであり、本技術と組み合わせることで安全かつ効率的な吹付けが可能となります。

 

 今後、当社は、本技術を全国の山岳トンネル工事に展開し、吹付け作業における更なる安全性向上と環境改善を進め、生産性の向上に努めてまいります。なお、本技術は当社が取り組んでいる山岳トンネル掘削作業の自動化・機械化構想※5(図2参照)に係る技術開発の一環であり、今後のさらなる技術開発により省力化、遠隔化を図り、将来的にはトンネル掘削サイクル全体の完全自動化を目指していきます。

 

図1 T-iROBO Remote Shotcretingの概要図

 

写真1 カメラなどの設置状況

写真2 本技術による遠隔吹付け作業状況

 

図2 大成建設の山岳トンネル掘削作業の自動化・機械化構想

  

1 T-iROBO Remote Shotcreting」:ヘッドマウントディスプレイと魚眼ステレオカメラを用 いたコンクリート吹付け作業に使用する遠隔操作技術。

https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2019/190717_4674.html

 

2 厚生労働省ガイドライン:「山岳トンネル工事の切羽における肌落ち災害防止対策に係るガイドライン」(平成30年1月18日改正)において、「事業者は、肌落ちによる労働災害を防止するため、切羽への労働者の立入りを原則として禁止し、真に必要のある場合のみ立ち入らせるようにすること。また、この措置を実効性のあるものとするために、~中略~作業等の完全な機械化等を積極的に進めること」と指導している。

 

3 20209月~20218月に大分212号跡田トンネル(東工区)新設工事(発注:国土交通省九州地方整備局)にて性能検証を行い、セットアップ時間を従来の15分から1分に短縮するなど、その実用性を確認した。

 

4 レーザー距離表示装置を用いて吹付け厚さをリアルタイムに把握するモニタリングシステム「T-ショットマーカー」を開発。コンクリート吹付け時に厚さを確認しながら作業できるため、切羽での作業効率と安全性が向上し、確実な吹付けコンクリート施工が可能となる。

https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2021/211018_8523.html

 

5 大成建設の山岳トンネル掘削作業の自動化・機械化構想:

当社では、山岳トンネル掘削における安全性向上および省人化による生産性向上を目的として、施工の自動化・機械化技術の開発を進め、省力化(現場作業員3名)、遠隔化(現場作業員2名)を図るとともに、将来的には監視員1名だけで実施できる掘削作業の完全自動化を目指している。

 

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