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株式会社大林組top2021年11月04日

トンネル覆工コンクリートの急速補修技術として「ワンバインドスプレー™」を開発

ネットレスのはく落対策工法により交通規制期間の短縮を実現

株式会社大林組

2021年11月04日

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:蓮輪賢治)、コニシ株式会社(本社:大阪府大阪市、社長:大山啓一)、株式会社ケミカル工事(本社:兵庫県神戸市、社長:國川正勝)は共同で、トンネルの補修工事における交通規制期間の短縮を目的とし、覆工コンクリートの急速補修技術となるネットレスのはく落対策工法「ワンバインドスプレー™」を開発して、東日本高速道路株式会社発注のトンネル工事で試行しました。

ワンバインドスプレーの吹付け

昨今、社会インフラの老朽化が社会問題となっており、国内の道路トンネルにおいても、その約半数が今後10年間で建設から50年を経過することから、リニューアルが急務となっています。

道路トンネルの覆工コンクリートが老朽化した場合には、構造物からコンクリート片がはく離・落下し通行車両の安全性が損なわれないように、繊維シート接着工法(※1)による補修・補強が多く採用されてきましたが、繊維シートの接着性の確保のため工程数が多く、施工期間や交通規制期間を短縮することが課題でした。

3社は、覆工コンクリートの小片はく落対策工(※2)に対応した、ネットレスのはく落対策工法「ワンバインドスプレー」を開発しました。

 

本工法は、材料の変更に伴い薄層塗布でも強靭な塗膜が形成できるので、繊維シートを使用せずに所定の押し抜き性能(※3)を確保でき、さらに塗布作業を手塗りから吹付けに変えることで作業時間が大幅に短縮できます。

押し抜き試験状況

また、本工法の材料は、燃焼時に発生する有毒ガスが基準値以下となるためトンネル坑内でも使用できます。そして、材料を混合する必要がない1液型材料のため、品質確保も容易となります。
ワンバインドスプレーの特長は以下のとおりです。

1. 作業工程の効率化

従来の工法では、下地処理、プライマー塗布、シート貼り付け前の不陸修正(コンクリート表面の平滑化作業)、接着剤塗布(2回)、繊維シート貼り付け、仕上げの7工程必要でしたが、本工法では、繊維シートを使用しないので下地処理、プライマー塗布、はく落防止材吹付けの3工程だけになります。これにより、作業時間を従来工法の35%に短縮できます。



従来の繊維シート接着工法とワンバインドスプレーによる工程の比較


2. 材料の変更に伴う安全性の向上と安定した品質確保
本工法の材料は、特殊なイソシアネート(※4)を配合することで、薄層塗布でも強靭な塗膜を形成でき、所定の押し抜き性能を発揮できます。塗布量が従来の吹付け材料の約3050%になることで、燃焼時に発生する有毒ガスが基準値以下となり、トンネル坑内でも使用できます。また、従来の1液型の吹付け材料は、硬化速度が遅いため、厚く吹付けると「液だれ」が生じていましたが、本工法の材料は、吹付けに適した粘性に調合した材料を薄層吹付けすることで「液だれ」を防止できます。そして、材料を混合する必要がないため安定した品質確保ができます。

3. NEXCOの品質・安全性の基準に適合
本工法の材料は、厳しい基準が設定されたNEXCO規格(トンネル覆工の小片はく落対策工)に準拠しています。トンネル覆工はく落対策工に使用可能なネットレス工法で、延焼性・自己消火性・発生ガスの安全性の各種試験に合格している国内で唯一の工法です。

今後3社は、高速道路のリニューアル工事において、「ワンバインドスプレー」を積極的に活用することで、交通規制期間の短縮や渋滞の緩和、トンネル覆工補修工事の高品質化を実現し、インフラ構造物の長寿命化に貢献していきます。

  • ※1 繊維シート接着工法
    既存のコンクリート構造物表面に繊維(炭素繊維、アラミド繊維など)シートを専用の樹脂で貼り付けることで、鋼板補強と同等以上の補強効果が得られる工法。また、鋼板より軽く腐食しにくい特長がある
  • ※2 小片はく落対策工
    はく落対策工は、構造物から落下する恐れのあるコンクリート片の大きさに応じて分類される。小片はく落対策工は、想定されるはく落塊の荷重が0.5kN以下のコンクリート片の場合に適用される。名称は、NEXCOトンネル施工管理要領での呼称
  • ※3 押し抜き性能
    コンクリート構造物の変状によるコンクリート片のはく落を再現した押し抜き試験により、表面被覆材(繊維シート、吹付け樹脂など)が有するコンクリート片のはく落抵抗性を定量的に評価する指標
  • ※4 イソシアネート
    ポリウレタンの材料となる、非常に反応性に富む化合物

 

 




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